「なにもない」じゃない
例えば、きのうまであったお店が次の日には取り壊されて無くなっていたとして、気づいた時には「あれ?ここにあったお店がない!」と思うけれど、何日か経って何もない状態が見慣れたり、または他の店が建ってしまったりすると、前にあった店を思い出せなくなることがあるかと思います。
また、その前の店を知らない人は、何もない状態や新しく建った店がもともとあったものだと感じると思います。
同じように、東日本大震災で被害を受けた沿岸部では、たくさんの家や店が津波で流されて、がれき処理が進んだ今、何もなくなったさら地を見て、初めからこうだったんじゃないかと感じてしまう人も多いようです。
初めて被災地に訪れた多くの人が、元の状態を知らないので、そう感じてしまっても仕方のないことなのですが、なんだか寂しい気持ちになってしまいます。
無くなってしまったものを元に戻すことは出来ない、だから新しく作っていかなくてはいけない、けれど気持ちの切り替えをすることは、なかなか容易ではないはずです。
しかし、訪れた人やもちろん生活している住民にも「なにもない」の印象を与えたままでは、なかなか進むことも出来ないのではないかと感じるのです。
こんな事をしてきたんだ、こんなに良いところがあるんだよ、と次の一歩につながるためのアピールを、元の状態を知らない人にしていく必要があるのではないかと思うのです。
私は自分なりの方法で、復興支援していきたいと考えていますが、まずは「なにもない」じゃないということを伝えていきたいと思っています。