私の青春の一ページを飾るリンゴ
小学校の授業でリンゴの皮むき大会がありました。
私はもともと指先が器用な方ではないのですが、なぜか包丁は上手に扱えることができました。
そして、この大会でも密かに優勝を狙っていました。
これは、りんごの皮を誰が一番長くむけるかの競技でした。
早さは全く関係ないので、これならドンくさい私でもいけると思ったのです。
そして、一人一個家庭から持ってきたリンゴ。
2名1組になり、剥きはじめました。
パートナーは周りで包丁を扱っているので危なくないか、見張っているということでした。
案の定私は結構いいところまで来ました。
細く、そして途中で切れないようになるべく薄めに剥いていたのです。
全て剥き終わったところで、まっすぐに並べ、長さを測りました。
とても長かったのを今でも覚えています。
そして、想像通り優勝したのです。
それは私の記憶では確かに鮮明に残っています。
でも、その後事件が起きたのです。
先生が普段なかなか褒められない私をみんなの前で褒めたかったのでしょう。
床に長く置いてある剥いたリンゴの皮を高々と持ち上げ、「ほら、こんなに長い!」とみんなに見せようとした時です。
「あっ!」もうそれは一瞬の出来事でした。
先生が私の剥いたリンゴの皮を踏みつけていたのです。
高々に挙げたリンゴの皮は引っ張られて、途中で切れたのです。
それをみんなが見ていた時にやってしまった先生。
そして、みんなは絶句。
私ももちろん出てくる言葉はありません。
学校全体での催しものだったので、教頭先生がそのシーンをカメラで収めていました。
この事件は伝説となり、さらに写真にもしっかり収められてしまったので、証拠もあります。
そして今でも私はリンゴの季節になるとなぜだか心がキュンとします。