スーパーマーケットへ行く楽しさ

給料が出た直後、スーパーマーケットへ買い物に行くのが私の幸せである。
あのごみごみしたところへ、愚鈍なカートを押して進まなければならないのはひどく億劫であるけれども、それを差し引いてもなお魅力的なのがスーパーマーケットである。
それも、給料日後、という限定である。

日頃行く買い物というのは、毎日何を食べるかということを考えながら行かなくてはいけないからいやなものである。
予算も決まっている。
そうなると大したものは作れない。
テンションは下がる。

私は、食にたいしておそらく人より貪欲である。
意地汚いと言ってもいいかもしれない。
けれども、そんなのの前に、やらなくてはいけないという義務がこの世の中、今の瞬間に存在しているというのは何とも心持ちの悪いものなのである。

だから、給料日後という特異な環境下の買い物というのは、義務感が薄れて楽しい。
何を買ってもいい。
そして買わなくてもいい。
いらんものを買ったとしても、気が大きくなっているからなんてことはない。

となると、無駄に寄り道が出来るのである。
いつも買わない、知らない名前の野菜。
普段見なかったような、おつまみ缶のコーナー。
ちょっとお高いジャム瓶の陳列棚。

高級漬物。
刺身の盛り合わせ。
色んなカビの入ったチーズ。
そして、お酒コーナー!

本当に夢のように楽しい。
予算がある程度とれるから、いい材料を使える。
そうなるとレシピもどんどんひらめくから、自然買い物かごの中身も山のようになってしまうのである。
個人的には、洋服を買いに行ったりするよりもうんと楽しいのである。

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