自己投資のA席
先日、舞台を観に行った。
10年近く前になるが、テレビドラマで放送されていた徳川家の大奥の話だ。
連続ドラマを欠かさずに観ていたので、舞台化されるということで興味があった。
夜中にテレビを観ているときに、チケット予約のコマーシャルが流れていたので迷わずチケットを取った。
自分一人で行くだけなので、気軽なC席でいいかと、インターネットで予約した。
当日劇場に入って自分の席に行くと、舞台とはほど遠い3階席。
分かっていたが、やっぱりかなり遠いし、高い。
ほどなくして華々しく幕が開いた。
煌びやかな打ち掛けを身にまとった女優さんが花道を通って登場したが、残念ながら3階席からは花道の登場する所は見えないのだ。
しかもかなり高さがあるので、立ち上がって覗きこむのが恐いと感じるほどだ。
その瞬間、やっぱりA席を取るべきだったなと後悔した。
3階席の良い所といえば、舞台の全景を見下ろせることだ。
しかし、役者の表情は見えない。
1回目の幕間のときにロビーに出てみると、A席に座っているご婦人方が出てきた。
着てきた着物を見せ合いながら、予約してあったらしい昼御前のお店に入っていった。
私はというと、銀行に行かなければいけない用事があったので、30分の間に劇場を出て早足で銀行に行ってきた。
戻ってくると、ちょうどご婦人方も席に戻られている所だった。
10人ほどで来ていて、皆さん綺麗な着物を着ている。
私は3階席に戻っていき、オペラグラスの準備などをしていた。
役者の表情を観ようとしたらオペラグラスを使わなければいけない。
オペラグラスの型が瞼に付くくらい必死で観ている中、A席だと優雅に観られるんだな、と思うと悲しくなった。
自分を高めるための自己投資として、4000円のC席ではなく、15000円のA席を取ることは大事なことだと思った。
次こそは、花道に近い席を取ろう。