楽しい海外旅行の声

旅行していると、海外からのお客さんがえらくはしゃいでいる様子をたびたび目にする。
ホテルの廊下でも観光名所でも、大きな声で喋って派手に動くその様子を見て、眉をひそめる人もいる。
日本人はそんなことしないのに、マナーがなってない!と言う人もいる。

しかし私は、そういった観光客の方の騒がしい態度にはかなり寛大だと思う。
だって海外旅行に来ていてテンションが上がらない方がおかしい。
ましてや、日本で旅行することを憧れてくれて、列車や建物を実際に目にして声が大きくならないわけがない。

きっと私もエッフェル塔に上ったり、コロセウムに行けば、「これが、あの!すごい!」と声を大きくしながら、シャッターを切るだろう。
パリのカフェに行って「パリジェンヌってかんじだよね私たち〜!」とはしゃぐだろう。
だって海外旅行なんだもん。

行ってみたものの、こんなもんか…と落胆すると声もあまり高くならないが、はしゃぎたくなるほどの立派なホテルがあるんだと誇りに感じたい。
先日なんでもない近所の商店街に、金髪のマダムがたくさんいた。

近くの漁港で揚がる魚を扱う鮮魚店や、しいたけや昆布だけの乾物屋という、本当にありふれた景色なのに、すごく高いテンションでマダムは楽しんでいた。
私もきっと、海外のマーケットにいったらテンション上げると思う。

ちょっとしたのれんや、ガードレールのデザインまでもデジカメにおさめていたのは、マダムたちの旦那さん。
100円セールとしてワゴンに出されていた湯飲みや茶碗の手触りを確かめて満足げだった。
大きな声を出して楽しんでもらえるほどの商店街が近くにある。
それだけで、地域が誇らしく思えたのだった。

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